きみと秘密を作る夜


遼からは、毎日のように、たくさんのメッセージが送られてくる。

大半は他愛もないことだが、ただ単純に、好きな映画の話で盛り上がれるのは嬉しかった。


最初は気負っていた私だったが、今では普通の、仲のいい男友達という感じだ。

だからだろうか、私の中にあった遼に対する壁は、徐々になくなっていった。



それから8月に入り、約束通り、私と遼はふたりで映画に行くことにした。



「待ちに待った公開日だよな」

「この作品、CMですっごい宣伝してるでしょ」

「そりゃあ、だって、この夏一番の話題作だもん。俺、絶対泣くから、したらハンカチ貸してな?」

「アクションじゃん。泣く場面ないって」


待ち合わせ場所で合流して、挨拶もそこそこに、これから観る映画の話で盛り上がる私たち。

毎日メッセージのやり取りをしているからか、初めてふたりだけで出掛けることにもそこまでの違和感はなかった。

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