きみと秘密を作る夜


家に戻っても母はずっとぶつくさと文句を言い続けていたが、聞き流してお風呂に入り、髪を乾かしながらスマホを確認したら、あさひからの、ものすごい数の着信とメッセージが入っていて驚いた。

どうやら私が行方不明になったらしいと遼から聞き及び、心配になって鬼のように連絡してきたようだった。


『大丈夫だから心配しないで』、『詳しいことはまた明日話すから』というメッセージだけを返して、自室に戻る。



時計を見たらすでに針は頭上を過ぎていて、さすがに疲れたなと思いながらベッドに腰をつけようとしたところで、カツン、と窓に何かが当たる音が。



「……何?」


首をかしげながらも、まさかと思い、恐る恐るカーテンを引く。

1年以上、触ることすらしなかったそのカーテンを開けると、窓の向こうに晴人がいた。


慌てて私も窓を開ける。



「晴人っ」


と、声を上げようとしたが、さすがに時間が時間だし、母にバレたらさらに怒られるだろうと、慌てて口を塞ぐ私。

にやにやした顔で見る晴人に、私は声を潜めて言った。



「何やってんのよぉ」

「懐かしいだろ」

「バカじゃん。もう窓からは入らせないからね? 今度からは堂々と、玄関から入ってきなよ?」


窓越しの会話。

まるであの頃に戻ったみたいで、何だかまだ少しだけ、夢の中にいるような気分だけど。
< 271 / 272 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop