きみと秘密を作る夜


期末テストを終えると、すぐに夏休みに突入した。

受験生ということもあり、遊んでばかりはいられないが、しかし今日は特別だ。


私の15歳の誕生日。



「ねぇ、プレゼントは?」


日付けが変わった瞬間、私は晴人に手の平を向けたのだけど。



「俺が祝ってやってんだから、じゅうぶんだろ」

「はぁ?」


一体、何様なのか。

呆れ返る私に「冗談だよ」と言い、晴人はポケットから何かを取り出した。


袋に入ったそれを、押し付けられる。



「安もんだけど」


中身はネックレスだった。

今度も星のチャームがついている。



「可愛い!」


私はすぐにそれを首につけた。

シュシュとおそろい。


鏡の前ではしゃぐ私を、晴人は笑う。



「そんなに嬉しい?」

「当たり前じゃん。大事にする。絶対、外さない」


宝物が、もうひとつ増えた。

こんなことになるなんて、1年前には想像すらしていなかった。



「去年は離婚とか引っ越しとかで、誕生日どころじゃなかったからさ。何か今年は余計に幸せ感じるっていうか」


首元の星をいじりながら、少しの感傷に浸っていたら、晴人に引き寄せられ、そのままベッドに倒された。
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