君に毒針



「俺、自分のことあんまり嫉妬しないタイプだと思ってたんです。なので、本当に、とっても、非常に、すこぶる、予想外で、むかつきます」



ぎゅうっと、身体ごと包み込まれていた。

どくどく、と心臓は大きく脈打っている。こんな風に樋野くんに抱きしめられるのは2度目。でも、1度目とぜんぜん、ちがう。

心臓の動きかた。脈のうちかた。頬の熱さ。熱っぽい頭。息が詰まる感じ。ぜんぶ、ちがう。

前は、もっと、ちがうくるしい痛みだった。申し訳ないとかどうしようとか、そういう痛み。───今は、ちがう。



「先輩が、誰と話しててもべつにいいし、誰と仲良くしたって、俺が何か言う立場じゃないです。…もし仮に、付き合ってるような関係でも、交友関係にとやかく言ったり、しないんですけど、」



くらくらする。熱い。目眩が、する。



「───ミナ先輩、はやく俺のものになって、」



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