嫁入り前夜、カタブツ御曹司は溺甘に豹変する
五連勤を終え、迎えた月曜の朝。私たちは揃って泥のように眠り、いつもよりかなり遅めの時間に起床した。
のんびりと支度する仁くんを尻目に母屋へと急ぐ。休みの日くらい洗濯を手伝おうと思っていたのに、洗面所にある大きなドラム式洗濯乾燥機は既にぐるぐると回っていた。慌ててリビングに駆け込む。
「すみません弥生さん。ほんと役立たずで」
ソファで本を読んでいたらしい弥生さんが何事かと目を見開く。
「洗濯物も、朝食の支度も、なにもお手伝いできなくて……」
「いいのよ~。洗濯物を放り込んだだけだし。どうしてもっていうのなら、乾燥が終わったら一緒に畳まない?」
「はい! もちろんです!」
「花帆ちゃんは元気がよくていいわね」
やわらかな笑みを浮かべる弥生さんいわく、男しかいない家だったので家事はこの数十年ずっと自分の役割だったし、今さらひとり増えたくらいじゃなにも変わらないから気を使わなくていいらしい。
しかしそれを鵜呑みにするほど図々しくはしていられない。