【完】絶対に内緒のふたり暮らし♡1/2
「ちょっと来て?」
「……わ、私!?」
ぼっちだけど全然問題ないですよみたいな顔を作っている私の席の前に立ち、堂々と声をかけてきた。
「なんで虹くんが“黒澤”さんに!?」
「黒澤じゃないよ! 確か“黒井”さんだから」
どっちも違うんですけど……。
地味子を通り越して、名字さえ覚えられていないという自分の存在感のなさを痛感した瞬間である。
「違う。“黒田”だから」
えっ……?
まさかの事態に、クラスの女子は一斉に顔を痙攣させるほどの衝撃を受けている。
あの女嫌いでドライな虹くんが女子の名前を口にしている……と。
そして私は女子から睨まれながら、虹くんの後を着いていく。