森の奥のパティシエール

「えっ？」

男性が首を傾げている間にグレーテルは男性に近づき、手を取る。そして何か呟くと目の前を強風が通り過ぎていった。男性は思わず目を閉じる。

男性が目を開けた時、そこにあったのはレトロな雰囲気のあるおしゃれなお店だった。甘い香りが漂ってくることからスイーツ店だとわかる。

「えっ！？ここは一体！？」

戸惑う男性にグレーテルは「ここは森の奥。言ったでしょ？私は魔法のパティシエールだって」と笑って男性の手を取った。そしてそのままスイーツ店の中へと入っていく。

店内を見た刹那、男性の目は数々の並べられたスイーツたちに向けられる。どれもがまるで一流のパティシエが作ったもののようだ。

「グレーテル、勝手に客を連れて来てババアに怒られたらどうすんだよ」

男性がスイーツに見惚れていると、刺々しい声が聞こえてきた。店の奥からグレーテルと同じエプロンをつけサスペンダーのついたシャツを着た男の子が姿を見せる。