森の奥のパティシエール
「丁寧に時間をかけて焼き上げたあのドルチェ!」

「王冠をモチーフにしたとろけるような食感のドルチェ!」

二人は皿にスイーツを切って男性の前に置く。

「どうぞ、クグロフです!!」

クグロフは、フランスのアルザス地方やオーストリア、ドイツなどで長年愛されてきた伝統的な焼き菓子だ。

「い、いただきます」

男性はドキドキしながらクグロフを口にした。見た目はごく普通のスイーツだ。

男性がクグロフを食べた刹那、真っ白な光に包まれる。男性の体から力が抜けていった。

「病みついた胃袋はオーバーラン快感!!」

まるで歌うようにグレーテルの声が聞こえた刹那、男性は意識を手放した。



男性は数ヶ月後、休日に家族とのんびり散歩していた。仕事が忙しくない部署に移動となったのだ。

「いただいていくね、忙しかった日々」

男性の笑顔をチラリと見た後、グレーテルはニコリと笑って呟いた。
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