激甘御曹司に恋しちゃいました


「少し外で散歩でもしませんか?」


ここのホテルの中庭は花が綺麗に咲いてるんですよと、真道副社長が微笑む。


「いいわね。二人で行ってらっしゃい。」


「お母さん達のことは気にしないで!」


「え…で、でも……!」


お母さんたちはここで待ってるわ、と笑顔で送り出されてしまった。


真道副社長のご両親とうちの両親はとても仲が良いらしく、二人きりになってしまうことに全く抵抗せず受け入れられてしまった。


まずい。男性と二人きりになるなんて初めてだしどうしていいか分からない。


終始無言のままホテルの中庭に到着すると真道副社長が振り返った。


「乃々華さんは僕の事嫌いですか?」


「…え?…あ、いや…その…」


「ごめんなさい。こんな事言っても戸惑うだけですよね」


と少し寂しそうな顔で話す。


二時間ほど食事を共にしたが嫌と思った事は無かったし、寧ろ心地よかった。

「あ、あの!」


気づいたら歩き始めていた真道副社長を呼び止めていた。


「…そ、その…嫌い…じゃない、です。」


言い終わるとなんだか好きですと言っているようなもんじゃないかと思い顔が赤くなる。


すると少し前にいた真道副社長が戻ってきて


「良かった。乃々華さんとは良い夫婦になれそうだ。」


と愛おしそうに笑うので頭のてっぺんから湯気が出てしまいそうになるくらい、もっと顔が赤くなった。


ところが重要なことに気づいてさっと顔が青くなる。さっき夫婦って言ってたよね。これってお見合いだから断れるんじゃないの…?


「…あの……」


「どうしたの?」


「ふ、ふ、夫婦…ってど、どういう事でしょうか…?」


「僕達結婚するんだよ。6月に。」


もしかしてさっき食事していた時の話聞いてなかった?と真道副社長が笑う。


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