激甘御曹司に恋しちゃいました


お見合いと言う名の顔合わせをした次の日。


私はいつも通り穂波グループの一つである穂波惣菜の人事部に出勤した。


配属されたばかりの頃は新卒で人事ということもあってかなりプレッシャーを感じていたが、今はとてもやりがいのある仕事で楽しくやっている。


私は穂波グループの娘と言うことを公にはしていない。公にしてしまえば贔屓されたような態度を取られるだろうし、同じ部署で働く人が働きにくくなってしまう。


だから同期や先輩、後輩も他の人と同じように接してくれるのでとても働きやすい。


「乃々華先輩、おはようございます!」


元気よく挨拶してきたこの子は神崎葵(かんざき あおい)ちゃん。


配属されていた当初はお世辞にも仕事ができるとは言えなくて大変だったが、大学が私と同じO大学だったこともあり意気投合して一番仲の良い後輩だ。今は配属されて2年目になったからか大きなミスなく仕事が出来ているので安心している。


私は28歳で葵ちゃんは26歳と歳も近いので趣味やファッションまで気が合うので休日も一緒にいるほど仲が良い。


いつもは葵ちゃんの元気な挨拶で今日も一日頑張ろうと思えるが、今日はそうは思えないらしい。


「はぁ…」


「乃々華先輩ため息なんてついてどうしたんですか?ため息の数だけ幸せって逃げちゃうんですよ!」


葵ちゃんはクリクリとした二重の目に高めの鼻、薄い唇、155cmという小柄な体型で小動物のような可愛さを持っている。


なので葵ちゃんに怒られても怒られているという感じがしない。


だが昨日初めて会った人と結婚することになっただなんて言えるはずもなく青いちゃんには誤魔化すしかなかった。


「ううん、なんでもない。今日も一日頑張ろうね。」


はい!と元気にデスクへ戻っていった葵ちゃんを確認するともう一度ため息をついて仕事に取り掛かった。


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