君がいたから

「嫌っ やらないの !蓮あっちいって 」

クリスマスイブに採血なんて最悪。

まばたきをしたときにでさえ
涙がこぼれ落ちる。


注射なんて慣れるもんじゃないし

入院していると
日に日に針で刺されたあざが増えていくから

ますます嫌いになっていく。


「怖いけど、これが終わったら
良いこと話してあげるから。頑張ろう? 」


「嫌なの………グスン 」


子どもをなだめるような優しい口調の
蓮だけど、私の腕を持って消毒を始める。


「刺すよ。 力抜いてね」


痛いっ………


「グスン………注射なんて………この世から無くなれば良いのに…」


精神年齢何歳だって思う発言だけど

注射嫌いなのに、
ほぼ毎日針刺されればそのくらい嫌になる。


「よしよし、痛いのによく頑張ったな 」


だけど、終わった後にこうして頭をポンポンしてくれる
優しい蓮は大好き。


安心する温もりに寄りかかる。

「可愛いやつだな 」


キュンとして頬が熱くなってしまうのがわかる。

何回言われても、大好きな人からの『可愛い』は特別だから。






< 124 / 220 >

この作品をシェア

pagetop