君がいたから


「蓮、結愛はもう落ちついた? 」


結愛の手を握っていると、

陽翔先生が入ってきて結愛のベットの近くにきた。


「呼吸の方はもう大丈夫です ………」


「だけど…夜中から喘息酷いんだろ? 」


「…はい 」


何度も起こる発作…
原因はストレスの可能性が高い。


昨日の夕方回診に行ったとき、
結愛は驚くほどの笑顔だったから、深く聞けなかったけど、夜中に発作を起こしてすごく後悔した。


「結愛の…心のケアができなかった俺のせいです。
すみません 」


「蓮のせいじゃないけど、
溜め込んでいるのはたしかだよな…」


陽翔先生は結愛の細い体を見ながらも、話すときは俺の目を見てくれる。


「はい…それに………今日になって全く感情を表さなくなってしまって… 」


悲しみも感じなくて
すべてを諦めてしまったような目が忘れられない。

表情だけはまるで感情のないロボットのようで
自分の意志があるのかすらわからなかった。


目を離したら何をするかわからなかったから

可能な限りいっしょにいようと思ったけど

運悪く急患が入った。


患者さんの状態が落ち着いて、すぐ戻ったけどこんな風になっていた…





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