君がいたから

あれからどうやって戻ったのかがわからない

けど気がついたら自分の病室にいた。


放心状態のまま、時間がすぎ、いつの間にか目の前に朝食が置かれていた。


でも、食べたくない。


「結愛…ご飯食べよう
気持ち悪い訳じゃないんでしょ?」


蓮が声をかけてくれるけど
運ばれてきた朝ご飯を食べられずにずっと
にらめっこしている。


メニューは野菜たっぷりの雑炊…
いい匂いがするし副作用の気持ち悪さではない。
だけど胃がしめつけられるように圧迫されていて、何も食べ物を入れたくない…


「食欲ない 」


「ダメだよ 食べないと 」


「…無理 」


「体力なくなっちゃうから ほら口あけて 」


小さめのうつわを持ちスプーンですくって
口の前までもってきてくれる蓮…

しかたなく少しだけ口を開くと温かいご飯が入ってくる。


「…おいしい 」

けど、のみこむと胃が苦しいよ。


「じゃあもう一回あーん 」



うっ…苦しいって

もう無理だよ。
クリスマスのときは
食べさせてもらうのも嬉しかったのに

今ではなんだか苦痛だよ。
人の体調ってたった2週間ちょっとでこんなに変わってしまうんだね。


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