君がいたから

「この前の検査結果だけど、
抗がん剤が全く効いていないことがわかった 」


予想はしていたけど、

実際にその言葉を聞くと、胸にグサリと何かが刺さったような痛さを感じる。


「だから、抗がん剤での治療はもう止めよう」

止めるっていうことは
治すのを諦めるってことなの ?


確かに抗がん剤の治療なんて辛いからやりたくない…けど

やらなければどうなるかなんて…………
誰でも簡単に想像できるはず。


死…その単語が頭をかけめぐる。

もうすぐ喋ることもできなくなる。誰かに触れることはもちろん。存在だって消えちゃう。
それを遠回しに言われているんだよね?


どうせ私なんて
頑張ったて無駄なんだ…って力が抜け

泣き叫びたくても、これ以上涙も声もでない。


「でも、俺たちみんな諦めているわけじゃないから 」


慰めの言葉なんていらない…

無理ならそう言ってよ。


「結愛…最後まで話聞いて 」


布団にもぐりこもうとすると………
蓮に抱っこされて、膝の上に座らされる。


「治すために骨髄移植しよう 」


「えっ………? 」


驚きで蓮の顔を見てしまう。




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