君がいたから

「私も将来蓮みたいな医者になりたいな 」


大変な仕事で、中途半端な気持ちでなれるわけはない

そんなことは蓮やお父さんを見て知っている。

でも、病気で苦しんでいる人がいたら、
助けたいと純粋に思う。


「結愛だったら小児科医とか向いていると思うよ 」


遠まわしにでも無理でしょ…って言われると思っていたけど、前向きで具体的なことを話してくれる蓮。

「子ども好きそうだし
治療のときの結愛は子どもみたいだから気持ち一番わかってあげられるんじゃない? 」


「……………」


子どもは好きだけど、子どもみたいって…

思い当たることありすぎて言い返せないけど酷い…


「結愛…機嫌拗ねないで…
いいものあげるから 」


「別に拗ねてないもん… いいものって?」


「ほらこれ 」


蓮が私の手に乗せたのは、
プレイルームにあるはずのおもちゃの注射器
なんで持っているのよ?


「蓮…最低… 」


人がビビるの面白がっているでしょ…


「ごめん…許して
でも少しは慣れてもらわないと… 」


いきなりだったから怒りたい気持ちも少しあったけど
医者になりたいなら慣れないとだよね…


「じゃあ、蓮が抱っこしてくれたら許す 」


「良かった。おいで 」


大きく手を広げてくれた蓮に飛びついた。

辛いときも、そうでないときも安心する蓮の温もりが大好きだよ。







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