君がいたから

「………冷たっ 」

この雨が、雪に変わっても
おかしくないくらいの気温…


普通なら、10mほど先にある屋根下にベンチがある、休憩スペースに行く。

体力が残ってないとはいえ、そのくらいは移動できるはず。

でも、もうそんな気力もなく、動かないうちにどんどん雨も降ってきて髪も服もずぶ濡れになる。

濡れた服が体温を奪っていく。


そして不運なことに
呼吸まで乱れる。

「ゴホッ ゴホッ ゴホッ ゴホッ ………」

嘘…?
こんな時に喘息の発作!?

生命の危険までも感じる。
私、ここで死ぬの…
嫌だよ。


こんなところで気を失わないようにと意識を集中させていると


「結愛っ 」


美月の声がした。


「こんなところで何しているの?
家すぐだからとにかく来て 」


手に持っていた傘をさしてくれた。


なんとか、最後の力を振り絞って、
すぐ近くの美月の家に上がる。


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