直球すぎです、成瀬くん
少しずつ修学旅行が近づいてきたある日の放課後。
先生に用事があるから職員室寄ってくる、と言って走って行った百叶を、私は昇降口で待っていた。
「……あ」
ふと目を向けた先に、成瀬くんの姿があった。
「えっと…こんにちは……?」
「挨拶下手かよ」
ふっと笑うと、成瀬くんはそのまま靴を履き替え始めた。
「あの、成瀬くんは、京都の自由時間どうするんですか?」
尋ねると、成瀬くんは気怠そうにため息を吐いた。
…あれ、私変なこと聞いちゃった……?
「…宮城に無理矢理誘われて、あいつのクラスのやつらと回ることになった…」
「え、よかったじゃないですか…!宮城くんと一緒」
「よくねーよ、俺はテキトーに時間潰すつもりだったのに…」
成瀬くんはまた、ため息を吐く。
「せっかくの修学旅行ですよ、1人はもったいないです、宮城くんたちと一緒の方がきっと楽しいですよ…!」
「…どーだかな。そういうおまえは?」
「私は、いつもの4人です」
答えると、成瀬くんは少し考えるような素振りを見せたあと「あぁ」と納得した顔をした。
「せっかくの修学旅行、おまえこそ嫌われたくないからってその友達3人に気持ち悪いくらい気遣うのやめろよ」
「な…その言い方、もっと他にないんですか?」
「あ?これが1番端的でわかりやすいだろ」
「私だって、この前ちゃんと、自由時間に行きたいところみんなに言えたんです」
「へえ…」
少しは成瀬くんを驚かそうと思って言ったのに、目の前の成瀬くんは感心したように続けた。
「少しは成長してんじゃん」
それだけ言うと、成瀬くんは「じゃあな」と学校を出て行った。