直球すぎです、成瀬くん




「………く、クラスの女子、だったよー」

「ええ!?」

「ちょっとまりな何急に、びっくりすんだけど」


声を上げたまりなちゃんに、横から玲可ちゃんが顔をしかめながら言った。


「いやだって、それならもっとあっちの近いところにたくさんいたじゃん?なのに何でこんなわざわざ奥の方まで…」

「どうしたの?何の話?」


百叶がひょっこりと顔を覗かせた。


「成瀬くんがさっき引いたくじ『クラスの女子』だったらしいんだけど、何でわざわざこんな後ろの方まで来て、柚を連れてったんだろうって」


もはや内緒話のトーンではなくなったまりなちゃんは、いつも話す時のトーンで2人にそう説明した。


私は慌てて周囲を見渡した。

この会話を、仮に成瀬くんに聞かれていたら……理由はよくわからないけれど、何だか気まずい…


先ほどいた辺りをそっと振り返ってみると、そこに成瀬くんの姿はなかった。



「……た、たぶん、成瀬くん、あんまりクラスの人と話さないから…交流会の勉強の時に、席隣になったことある私が、頼みやすかったんじゃないかな…きっと……」


少し小声になった私の言葉を、3人は顔を寄せて聞いた。



「あー、そーゆーことー?確かにね〜成瀬くんまともに話してるの見たことないし、それなのにクラスの女子ってなったら、そーなるのも無理ないか〜」

「宮城くんくらいしか、話してるの見たことないしね」

「確かに」


口々にそう話す3人を見て、私はほっと胸を撫で下ろした。

……よ、よかった、納得してくれたみたい……………



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