直球すぎです、成瀬くん

5




高校生初めての体育祭が終わり、クラスの雰囲気が少し変わった。


何となく、仲の良さが深まったというか、以前は話しているのを見たことがなかった男女が休み時間に雑談しながら笑っていたり、比較的グループで固まっていた女子も、グループ外の女子と話す姿を目にするようになったり。


学校行事の力ってすごいんだなぁと、私は他人事のようにその様子を見ていた。


私はというと、以前と何も変わらず、いつも通りの4人で過ごしていた。

体育祭で特に話した人はいつもの3人以外にいなかったし、そもそも参加した競技が全部百叶と一緒だったから、必然的に私は百叶とずっと一緒に行動していた。




そんなある日、帰りのホームルームで担任が連絡事項を伝え終えたタイミングで、1人の男子が突然椅子から立ち上がり手を挙げた。


少し騒つく教室内の視線を一気に集めたその人は、先生と目を合わせると口を開いた。


「センセー、そろそろ席替えしたいでーす」


その言葉に、さらに賑やかになる教室。


「俺も思ってたー、いい加減席替えしてえ〜」

「せんせー今からしよーよ」


先生、先生、とみんな先生に熱視線を送っている。



「…んー…今から?ホームルームの時間あと10分くらいしか残ってないんだけど、あんたたち10分じゃ移動できないでしょ」

「できます!!」

「でも何の準備もしてないし……先生明日の朝までにくじ作ってくるから、席替えは明日の朝のホームルームの時に…」

「センセイ、くじならもうあるよ」



< 53 / 132 >

この作品をシェア

pagetop