直球すぎです、成瀬くん
「…そこ、邪魔なんだけど」
「っ、!」
女子が盛り上がる中を裂くように聞こえた声。
辺りは一気に静まり返り、みんな同じ方、私の後方に視線を向けていた。
恐る恐る、私も振り返る。
「……っ、」
「……」
………な、成瀬くん……………!?
いつも通りの鋭い眼が私を捉えていて、言葉を発することすらできない。
……その手には複数のビニール袋………もしかして、買い出しから戻ってきたところだったのかも………
重たいものを持って戻ってきた教室に、入ろうとしたらちょうど私がドアの真ん中に立っていたから………そんなの、邪魔だって、怒るに決まってる…………
「…ご、ごめんなさい、成瀬くん……」
頭を下げながら、私はすぐに避けてドアの前をあけた。
「……」
……けれど、成瀬くんが動く気配はない。
私は恐る恐る、顔を上げた。
「っ、」
バチッと、ちょうど目が合ってしまい、私はすぐに視線を逸らした。
……あ、い、今の…よくなかった……絶対、印象悪い…………
ただでさえよく思われていないところにさらに追い打ちをかけるようなことを自らしてしまい、かと言ってもう一度目を合わせることもできず、視線はどんどんつま先へと落ちていく。
「…スカートみじか、似合わねー」
「……」
それだけ言うと、成瀬くんはそのまま教室へ入っていった。
………そ、そんなの、自分が1番わかってる………似合わないことなんて、着る前から誰よりもわかってた…………のに……
成瀬くんの言葉が耳に入ってきた瞬間、私はどうしてか、少しショックを受けていた。
ショックと思う資格なんて、私にないのにーーー
「……今の、何?」
「…いや、さすがにないでしょ、あの言い方」