We can change〜仲間がいる限り〜

ドロシーの悩み〜私には、家族がいない〜

「それでは来週歌のテストをします。皆さん、しっかり練習して素敵な歌声を聴かせてください」

オズが音楽室でそう言うと、「は〜い」とあまり元気のない返事が返ってきた。それでもオズは気にせず、生徒が音楽室からいなくなった後、授業の片付けを始める。

「オズ先生……」

音楽室のドアが開き、オズはドアの方を見る。そこにいたのは、水色のツインテールの髪をした女の子だった。中等科のドロシーだ。

「ドロシー、どうしたの？次の授業は確か数学じゃなかったかしら」

「どうしても話、聞いてほしくて！」

ドロシーは制服のスカートを握り締め、地面を見つめている。オズは「ここに座って」と椅子を用意した。悩んでいる状態では何も身に入らない。

「私の両親が事故で死んで、叔父さんと叔母さんと一緒に住んでるのは先生も知ってるよね？」

ドロシーがそう言い、オズは三者面談の時に見かけた顔を思い出す。二人ともどこか厳しそうな雰囲気だった。