17時、カフェオレ。



私のすぐ横には、理玖先輩が立っていた。
…さっき、先輩から離れたはずなのに…


「…なんで俺から離れたの。
少しは、自分の容姿自覚しなよ。
優奈ちゃんは可愛いんだから、こんな時間に1人でいたら変なのに絡まれるに決まってるでしょ」


そういう先輩は少し怒ってて、いつもの先輩とは少し違った。
…でも、私ももういつもみたいに先輩の言うこと聞くいい子じゃないよ。


「…私がどうなろうと、先輩には関係ないことですよね」

「関係ないわけないだろ!!」


静かな路地に、先輩の怒鳴り声が響いて、私の肩はビクッと跳ね上がった。
先輩らしくなくて、どうして先輩が怒ってるのかもわからなくて

我慢してた涙が、ついに流れてしまった。


「えっ…ご、ごめん
急に怒鳴ったりして…」


先輩はそう謝ったけど

…そんなことも、的外れだよ。


先輩に謝ってほしいわけじゃないんだもん。

…ただ、先輩にはなんにも届かなくて
悔しくて仕方ないだけなんだよ…


「…おやすみなさい」


私はそう言って涙を拭いて先輩に頭下げてまた歩き始めたけど

「だから送るって」

あっさり、腕を掴まれた。
優しく掴んだ腕なら、すぐにほどけるのにね。

どうして、私は振り払わないんだろう。
どうして振り払えないんだろう。

こんな自分にも、腹が立って仕方ないや…


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