ドロ痛な恋が甘すぎて アミュ恋2曲目
 
 は~。
 後悔しかない。

 俺の貯金を半分やるから
 時間を巻き戻してほしい。

 俺の本性を苺に見せてしまった。
 二人でのライブ練習、初日に。


 だってさ。
 二人だけのスタジオで。

 彼女かっていうくらい
 俺の横にぴったりくっついて。

 私、かわいいでしょって言わんばかりの
 甘ったるい声を出されたら、
 頭をカチ割りたくなるじゃん。


 ウザいんだよって
 ギター壊したくなるじゃん。


 でも、苺なんかに
 悪魔綾星をバラしたくなんてなくて。
 イライラを誤魔化しながら
 貴公子スマイルでニコっ。


 そんな精神状態ギリギリを
 保っていた俺に

『わたし、綾星さんと
 付き合ってもいいですよ』
 なんて、言ってきやがった!


 付き合ってもいいですよ?

 何? 上から?


 俺、苺をかわいいって思ったこと
 1度もないんだけど。


 かわいさアピールで
 首をかしげながら微笑む苺を見たら、
 俺はもう、我慢の限界を超えてしまった。


 気づいた時には

『お前と付き合うとか
 マジでありえねえんだけど』

 目を吊り上げて、
 そう、吐き捨ててしまった。


 その瞬間から
 俺は苺に弱みを握られてた。

 『悪魔の本性を隠して
  貴公子綾星を演じて
  ファンを騙している』ことを。

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