ドロ痛な恋が甘すぎて アミュ恋2曲目

「ほのか? 聞いてる?」


「え?」


 ぼーっとしたままだった。

 いつの間にか綾星くんは
 つないでいた私の手を離していた。


 そしてベッドにもたれるように
 床に座ると、
 とびきりの笑顔を私に向けた。


「読むんだろ? 今日も」


「あ……うん」


 私はこの時間が大好き。


 綾星くんの前に座って。
 後ろからギューって抱きしめてもらう
 この時間が。


 急いで綾星くんのひざの間に座る。


 すると、私の不安ごと
 綾星くんは優しく抱きしめてくれた。


「ほのか、お仕事おつかれ」


 綾星くんの温かい手が
 私の頭を優しく撫でる。
 何回も、何回も。


 毎日のなでなで儀式。


 気持ちよくて。
 とろんとした気持ちにさせられて。

 なぜか、綾星くんに
 甘えたくなってしまう。


 私は甘えモードのまま
 綾星くんにいつものおねだりをした。


「今日は、1巻がいいな」


「最初から?」


「うん」


 綾星くんの心臓の鼓動を感じながら。

 二人で一緒に
 『ドロ甘な声が痛すぎて』の
 マンガを読む。


 私はそのページを読み終えると
 綾星くんの膝を優しくタッチ。

 そうすると
 綾星くんがページをめくってくれる。


 そして今日も
 キュンキュンしちゃうシーンで
 膝をポンポンポンポン。
 何回もタッチした。


「これ?」


 綾星くんのちょっと嫌そうな声が
 私の耳をくすぐる。


「ダメ……かなぁ?」


「いいけど。
 後でほのかから、ご褒美貰うからな」


「うん」


 喜びを詰め込んだ私の返事の後。

 綾星くんの唇が、私の耳に触れた。


「ひゃ!」


 いつもと違うよ。耳にキスなんて。
 普段は耳元でささやくだけなのに。


「ごめん。
 ほのかのかわいい声、聞きたくて」


 意地悪で。でも甘い。

 私の心を簡単に溶かしてしまう声に
 ドキドキさせられて。

 そのドキドキの鼓動に合わせるように
 綾星くんの膝を叩く。

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