ドロ痛な恋が甘すぎて アミュ恋2曲目

「あやあや、どうしちゃった? 
 楽屋に戻らないの?」


 はっと我に返り
 ウサギ並みにうるるんとした
 真ん丸な瞳と目が合った。


 そういえばさっき
 ライブ前の最終リハが終わったんだった。


 ステージ袖でパイプ椅子に座っていた俺に
 話しかけてきたのは、
 メンバーの春輝(はるき)。


「春かよ。どうもしてねえよ」


 誤魔化すように
 ぶっきらぼうに答える。

 でも、能天気な春輝は
 お構いなしのにんまり笑顔。
 

「明梨ん、大丈夫かな?」と言いながら
 台本片手にブツブツつぶやいている
 明梨ちゃんに目を向けている。


 ほのかのことばっかり考えていて
 明梨ちゃんのことを忘れてた。


 アミュレットのリーダー失格だな。
 俺。


 雅の彼女の明梨ちゃんが
 俺たちの専属司会者として戻ってきた。

 今日が復帰ライブの初日。


 ま、1か月前の学園祭ライブで
 司会をしてくれた時も、
 文句をつけるところがないくらい
 俺たちをゾクゾクさせる司会をしたし。

 母親に似たのか
 度胸は半端ねぇもん持ってるし。

 俺は心配なんて
 これっぽっちもしてねえけど。
< 41 / 177 >

この作品をシェア

pagetop