黙って俺を好きになれ
仕事の愚痴が7割、恋バナが2割、その他1割。二人の話に相槌を打って、笑って。筒井君は前触れもなく私にいきなり振ってくるのが困る。ありきたりの受け答えしかできないのに。

最後は3人でも食べ切れそうにない大きなチョコレートパフェが来て、エナと筒井君にバースディソングを熱唱された。・・・死ぬほど恥ずかしくて照れくさかった。

ありがたく(おご)ってもらい、10時すぎに店を出てエナは彼氏のお迎え、私も筒井君の厚意に甘えて送ってもらう。

電車の車内は混雑というほどでもなく、ふたり横並びで揺られる。

「糸子センパイ、日曜ってヒマっすかー?」

ふにゃっとした笑顔で世間話のように訊かれた。

「特に予定はないけど・・・」

「じゃあ誕生日会の第2弾ってコトで出かけましょー!」

・・・はい? 目が点になる私。

「朝10時に迎えに行くんで、待っててくださいよー?」

「あの、それって決定・・・?」

「エナさん命令なんですってー、糸子センパイを楽しませてこいって」

聞いてない聞いてない、エナったら筒井君になに言っちゃってるのぉぉぉ・・・・・・・・・。脳内で空しく木霊する。

「逆らったらオレが可哀相なんで断んないですよねー、糸子センパイはー」




ふやけた笑顔が天真爛漫な悪魔に見えた。



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