黙って俺を好きになれ
番外編2
夏の走りを思わせる5月の下旬、志保の結婚式に出席した。当日は生憎の曇り空だったけど雨は持ちこたえ、おかげで気温もそれほど上がらずにまあまあの日和。

出かけるのを渋々赦してくれた幹さんは、車で迎えに来た梨花に私のことを念入りに頼み、お構いなしにキスを落とした。

『コグレ先輩、会うたびトーコへの溺愛度が増してくね』

クスクス笑ってハンドルを握る彼女には、筒井君とのこともすべて打ち明けてあって。幹さんがマンションに帰れない日は泊まってくれるし、本当に心強くて助かっていた。




式場はホテルじゃなく、大聖堂みたいなチャペルに、ガーデンウェディングもできる女子の夢が詰まった素敵な式場だった。高校三年の時5人グループだった、クラスメイトの七美(ななみ)彩花(あやか)とも久しぶりに顔を合わせ、楽しい同窓会にもなった。
< 267 / 278 >

この作品をシェア

pagetop