ほんとは、ずっとキミのこと、
俺は悔しくて何人も適当な同級生や高校の先輩、クラブで出会った大学生を抱いてみた。
俺の身長と容姿では簡単なことだった。
それでも何も埋まらなかった。
まだ高校生にもならずに朝帰りばっかりする俺を両親はひどく心配しただろう。

街を出たくて受験した高校も見事に落ちて、俺は一番家から近い南高校へ入学することになった。
あんなに勉強にうるさかった父親も、将来が決まっているからとあまり進路に興味を持たなかった。
そして両親は俺を捨てるように、しばらくしたら海外出張に行くから、と俺に告げた。


隣街のクラブのVIPルームに俺が行く時、俺の姿になんか気づきもしない新乃の姿がいつもあった。
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