こじらせ社長のお気に入り
ちょっと待って。一つ引っかかることが……
〝社長の強い希望〟って、秘書を置くことだよね?まさか、私が秘書をすることじゃないよね……?
聞けない。
こんな自惚れたこと、口が裂けても聞けない。
でも、さっきからご機嫌な様子でこちらを熱く見つめてくる社長の視線の意味は一体……
「よ、よろしくお願いします」
「ちょっと、瑞樹。俺が教えるからいいって言ってたのに」
「まだそんなふざけたことを言ってるんですか」
おっと。ここまで丁寧な口調の副社長だったけど、社長相手に随分砕けた口調になっている。
「いいじゃないか。瑞樹だって忙しいんだから、俺が教えるよ。俺の秘書なんだから、2人は一心同体だ。笹川……いや、柚月のことは俺に任せろよ」
ゆ、柚月って呼んだよ、この人……
唖然として何も言えずにいたら、すかさず冷静沈着な副社長が声を発した。
「社長。度が過ぎた言動はセクハラですよ。いくら初めて秘書が付いたことが嬉しいからといって、暴走するのはよしてください。配属を発表した直後ですが、もう一度検討し直すことにします。
笹川さん。すみません、私と一緒に……」
「わあああ。ちょっと待って。俺が悪かった。ちゃんとする。だから、今のはナシで。笹川さんもごめん。許して」
懇願してくる社長に、未だ事態を飲み込めていない私は、反応できずにいた。
〝社長の強い希望〟って、秘書を置くことだよね?まさか、私が秘書をすることじゃないよね……?
聞けない。
こんな自惚れたこと、口が裂けても聞けない。
でも、さっきからご機嫌な様子でこちらを熱く見つめてくる社長の視線の意味は一体……
「よ、よろしくお願いします」
「ちょっと、瑞樹。俺が教えるからいいって言ってたのに」
「まだそんなふざけたことを言ってるんですか」
おっと。ここまで丁寧な口調の副社長だったけど、社長相手に随分砕けた口調になっている。
「いいじゃないか。瑞樹だって忙しいんだから、俺が教えるよ。俺の秘書なんだから、2人は一心同体だ。笹川……いや、柚月のことは俺に任せろよ」
ゆ、柚月って呼んだよ、この人……
唖然として何も言えずにいたら、すかさず冷静沈着な副社長が声を発した。
「社長。度が過ぎた言動はセクハラですよ。いくら初めて秘書が付いたことが嬉しいからといって、暴走するのはよしてください。配属を発表した直後ですが、もう一度検討し直すことにします。
笹川さん。すみません、私と一緒に……」
「わあああ。ちょっと待って。俺が悪かった。ちゃんとする。だから、今のはナシで。笹川さんもごめん。許して」
懇願してくる社長に、未だ事態を飲み込めていない私は、反応できずにいた。