こじらせ社長のお気に入り
彼女とのことが片付いた時、ホッとしたと同時に、一人の女性の人生を狂わせてしまったのではと思うようになって、随分悩まされた。
まあ、彼女とその母親にかなり言い募られて、忙しさも相まって精神的にも追い込まれていたんだと思う。

仕事は成功していく反面、女性との付き合いが分からなくなっていった。要求に応えられず、再び相手の人生を狂わせてしまうことになったら……
そんな恐怖を感じるようになって、いくら言い寄られても付き合うことはできなかった。

たった4人で始めた会社だ。
もちろん、俺自身も営業活動をした。そうすると、相手が女性の場合だってある。残念なことに、付き合いを要求する人も少なからずいた。
でも、それに応えることは自分にはできなかった。それがたとえ、一夜限りの付き合いであったとしても。

俺の軽口は、そういう付き合いをすり抜ける手段でしかないんだ。女性に対して、褒めておだてて、ちょっと気分を良くしてあげて、時には食事に付き合う。そうすれば、相手は仕事の付き合いも普通に応じてくれる。そりゃあ、夜も誘われることもある。でも、そこだけは一線引いて徹底的にかわしていた。




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