こじらせ社長のお気に入り
「山城」

「なんだ?」

「本気で好きなんだろ?彼女のこと」

相変わらず、直球で聞くやつだ。まあ、そのストレートさがありがたい時もあるけれど。
ただ、今は少しだけ気まずくて、一瞬言葉に詰まってしまう。

「……ああ。そうだな」

「彼女、今は仕事一筋で頑張りたいって豪語してたぞ」

「俺も言われた」

「まあ、そうしたい理由があるんだろうなあ。お前の口説くような軽口に、赤面一つしないであしらってるぐらいだ。思いは強いんだろう」

「……」

「なおさら、邪魔できないとか思ってるんだろ?」

「まあ……そうだな」

「でも、我慢できずに、ついつい感情を漏らしている」

「……」

「両立はできるって、お前が教えてあげればいいんだよ。あの子、別に不器用ってことはないと思う。なんか、頑なに思い込んでるだけのようだ」

< 85 / 223 >

この作品をシェア

pagetop