必殺スキル<子守り>だけで公爵夫人になっちゃいましたが、ほのぼの新婚ライフは幸せいっぱいです
 ここは貧しい村だが、村長の家だけはかなり裕福だった。それには理由があって、村長の妹が村の出身とは思えない大層な美人で、玉の輿に乗ったのだ。
 嫁ぎ先は村よりずっと大きな街の上級役人の家だった。その妹が度々、小金を融通してくれるため村長はずいぶんと羽振りが良くなった。

 話題にあがっているゾーイは、村長の三男坊だ。村長夫妻は歳がいってから生まれたこの末っ子を、目に入れても痛くないとばかりに溺愛していた。
 三男なので厳しい教育もいらない。ただただ、甘やかし、猫可愛がりをしているという有様だった。

 ゾーイはそれをいいことに、仕事も手伝わずにフラフラと各地を遊び歩くような生活をしていた。大人達の中には「けしからん」と眉をひそめるものもいるが、子供達にはそんなに嫌われてはいない。お馬鹿丸出しで、なんだか憎めない性格をしているからだろうか。

 そんなゾーイが遊学(自称)から帰ってきた。

「おうおう、帰ってきたぞ~。みんな、元気だったか?」
< 126 / 243 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop