必殺スキル<子守り>だけで公爵夫人になっちゃいましたが、ほのぼの新婚ライフは幸せいっぱいです
 ジークのごつごつとした指がエイミの唇をなぞり、ゆっくりと彼の顔が近づいてくる。
 唇が触れ合うその瞬間、エイミは叫んだ。

「ジーク様! 大変です、わたし、気持ち悪いです~!」
「ええっ」

 次の瞬間、エイミはばたりと泡をふいて倒れてしまった。
 
 酒の飲みすぎによる急性症状だろう。

 ジークが大慌てでエイミを介抱している、ちょうどそのころ、ヒースは自室でひとりほくそえんでいた。

「大陸の端からわざわざ取り寄せてあげた、秘伝の媚薬は効果あったかな? あのふたりはどうにも奥手そうだからなぁ。親友の機転に感謝してくれよ、ジーク」


「だ、大丈夫か? エイミ」
「残念ながら、あんまり大丈夫じゃなさそうです~」

 翌朝。エイミはひどい頭痛に苦しめられ、とてもじゃないが観光になど出かけられない状態だった。
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