必殺スキル<子守り>だけで公爵夫人になっちゃいましたが、ほのぼの新婚ライフは幸せいっぱいです
 ジークの銀色の髪も、鋭い目も、たくましい腕も、その腕にある無数の傷跡さえも、彼のものはすべて愛おしく思う。

 恋をするとはこういうことだったのか。ジークに出会って、初めて知った。

 心臓は早鐘のようにドクドクと打ちつけ、体の芯がかぁと熱くなる。ジークを見つめるエイミの瞳は熱っぽく潤んでいた。

「ジーク様。わたし……」

 エイミはジークにしなだれかかった。

「エイミ……」

 彼はふわりとエイミの体を受け止めてくれた。彼の腕がエイミの背中に回り、引き寄せられるようにソファに倒れこんだ。

 エイミが押し倒したような恰好だが、仕掛けたのはジークのほうだ。

「ジーク様……」

 もう言葉はいらない。そう言うかのように、ジークの大きな手がエイミの言葉を遮った。
< 169 / 243 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop