必殺スキル<子守り>だけで公爵夫人になっちゃいましたが、ほのぼの新婚ライフは幸せいっぱいです
「なにが気持ち悪いんだ?」

 心底わからないといった顔で、ジークが首をかしげた。

「こいつの髪、気味悪いじゃないか。夜の闇の色だぞ」

 ナットと呼ばれた少年が答える。

「そうか? 俺は昼より夜が好きだがな」
「ジーク様、変わり者だからねぇ」

 リーズがクスクスと笑う。

「で、この人は誰なの?」

 小さな天使がエイミを指差しながら、アルにたずねた。

「そうだね。とりあえず紹介しようか」

 アルがひとりずつ、名前を紹介していく。

「この烏みたいな子は新しい女中で、あれ? 名前なんだっけ?」
「エイミです」
「だって。ゾフィー婆やの代役として、掃除とか雑務とか色々やってもらう予定だよ」
「よろしくお願いします」

 エイミはぺこりと頭を下げた。

「長女のリーズは十五歳。この城のことは、とりあえず彼女に聞くといいよ」

 利発そうな少女は、にこりとエイミに笑いかけてくれた。

「長男のナット、十四歳。やや早めの反抗期に突入したところ」
 
 やんちゃな少年は、エイミの黒髪をちらちらと盗み見ている。よほど気味が悪いのだろう。

「次女のアンジェラ、五歳。たいそうワガママで、僕も手をやいてる」
「末っ子の三つ子はマクシム、シェリン、レオルドだ」

 ちびっこ達は美形揃いだ。教会の壁画から天使が抜け出てきたようで、エイミにはまぶしすぎる。

「わ~。賑やかでいいですね! 私のうちも兄弟がたくさんで、とても賑やかでした」
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