必殺スキル<子守り>だけで公爵夫人になっちゃいましたが、ほのぼの新婚ライフは幸せいっぱいです
「あの、公爵様。本当に失礼しました。まさか公爵様が子守りをしているとは思わなくて……それに、公爵様は極悪非道だって噂が……あっ」

 エイミはまたもや失言をしてしまったことに気がつき、あわてて両手で口を塞ぐ。

「アル~! ジーク様いた?」

 ちょうどその時、開け放たれていた扉から利発そうな少女がひょっこりと顔をのぞかせた。十四、五歳といったところだろうか。続いて、彼女と同じ年頃の男の子と四、五歳くらいに見える天使のような美少女が手を繋いであらわれた。

「なに、この女? 黒い髪なんて、気持ちわるっ」

 エイミを見て、そう言ったのはやんちゃそうな少年のほうだ。

「ナット。初対面の人に失礼よ。それに、容姿とか本人の落ち度でないところを貶めるのは子供のすることよ」

 そう言って、彼をたしなめたのは利発そうな少女だ。利発そうというか、エイミより賢いのは確実だろう。

「口うるさいな、リーズは」

「えっと、気にしないでください。私のこの髪は、大人もみんなそう言いますよ。実際、アルさんにも言われましたし」

 エイミは自分の髪を、ひとふさつまみながら言う。

「それは僕が子供じみてると言いたいわけか?」
「いえ、そういうわけじゃ」

 どうやらアルはイジメっ子気質のようだ。そして、エイミは昔からいじめられっ子タイプだった。
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