新婚未満のかりそめ初夜～クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする～

　昼休みに入る前に、パソコンに届いた一通のメール。それは井手君からで、【この店でランチをしよう】というメッセージとともに店の情報が送られてきた。

　指示通りに昼休みに入ると、ひとりオフィスを出て待ち合わせ場所へ向かう。
　すでに井手君は来ていて、おすすめのランチセットを注文してくれていた。

　そして私が席につくと、さっそく本題を切り出す。

「今日は朝から驚きの連続だったよ。出勤するなり新川部長に呼び出され、そこで聞かされたときの衝撃といったら……！」

　オーバーに驚く井手君に苦笑い。でもそうだよね、びっくりするよね。

「それに新川部長からどれほど川端さんを想っているのか、聞いているこっちが恥ずかしくなるほど聞かされたらさ、もう諦めるしかないと思ったわけよ」

　そう言うと井手君は前屈みになる。

「よかったね、川端さんの想いが新川部長に伝わって」

「井手君……」

　なんて優しい人だろうか。自分のことより、誰かのことを思いやれる素敵な人だ。

　そんな井手君だからこそ、ちゃんと自分の口からも伝えないと。

　自分を奮い立たせ、井手君と真っ直ぐに向き合う。