新婚未満のかりそめ初夜~クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする~
「ありがとう。……本当、ジョージには感謝しかないよ。俺がこうして彩香と出会い、結婚できたのは全部お前のおかげだ」

「今度はジョージが幸せになる番よ。……今まで本当にありがとう」

 ジョージさんに向かって深々と頭をさげるふたり。見ているこっちが感極まる。ジョージさんも「調子狂うからやめろ」なんて言いながら、少し目が赤い。

「次はジョージの番ね」

 そう言うと金子さんは、ずっと手にしていたブーケを私に差し出した。

「これは絶対に涼ちゃんに受け取ってもらうって決めていたの。……涼ちゃん、ジョージのことをよろしくね」

「金子さん……」

 ふたりの幸せを心から嬉しく思う。だけど、これからは会いたいときにすぐには会えなくなるんだと思うと、寂しくて仕方がない。

 明日から新婚旅行に出てその後、地方へ引っ越す。私もジョージさんのマンションに移り住む予定だ。四人での生活はもうできないんだ。

 短い間だったけれど楽しい毎日だった。そんな日々が頭を駆け巡り、ポロッと涙が零れ落ちた。
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