新婚未満のかりそめ初夜~クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする~
「ありがとうございます」

 涙を拭いながら受け取ったブーケは、色とりどりの花でできていて、甘い香りが鼻を掠めた。

「涼ちゃん、もしジョージと喧嘩したら、いつでもうちにおいで」

「そうそう。涼ちゃんなら大歓迎!」

 そんなふたりに対し、ジョージさんは私の肩に腕を回して言った。

「悪いが、涼をひとりでお前らのところに行かせることはないから。喧嘩をしたらすぐに仲直りするさ。……な? 涼」

 甘い瞳でそう聞かれ、胸がキュンとなる。

「えっと……はい」

 それでもどうにか返事をすると、大家さんと金子さんは「きゃー! 甘い」とか、「ジョージが別人に見える!」と口々に言う。

 旅行の日以降、私を見るジョージさんの目が優しくて甘くて、たまらない気持ちになる。

 それは二週間前、私の実家に挨拶に来てくれてからますますだ。

 緊張した面持ちで私の両親と対面すると、ジョージさんは深々と頭を下げ、『涼さんと、結婚を前提にお付き合いさせていただいております』と言ってくれたんだ。
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