新婚未満のかりそめ初夜~クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする~
 自然と肩の力は抜け、あんな素敵な人がいる会社で働きたいという思いが強くなり、リラックスして面接に臨むことができた。

 面接後、帰路につく途中で会社のホームページをくまなくチェックした。限りなく可能性は低いけれど、彼が載っているかもしれないから。

 すると願いは通じたのか、先輩社員の紹介ページに彼の特集記事が掲載されていたんだ。

 しかしその記事を見て、目を疑った。なんと彼はアラカワ製菓の御曹司。いきなり重要な役職に就くこともできただろうに、母方の姓を名乗り、素性を明かすことなく試験を受けて入社。他の新入社員と同様に経験を積み、自分の実力だけで一年前に営業部の部長に昇格。

 その際に次期社長ということを公表し、それからは新川の姓を名乗っていると書かれていた。
 家柄もよくて仕事もデキて、あの容姿。まさに恋愛小説のヒーローのようだ。

 ずっと恋愛からは疎遠で恋をした経験がない私は、完全に浮かれた。もしかしたら彼との出会いは、運命かもしれないと。

 よくドラマでも起こるシチュエーションじゃなかった? あの出会いがきっかけで私と彼は話す機会が増えていき、お互いを好きになっていくとか王道のパターンだ。

 それから少ししてアラカワ製菓から内定をもらったことで、その考えに拍車がかかった。
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