クールな王子は強引に溺愛する
美しい横顔は、ただ眠っているだけで今にも起きてきそうだ。
何度、眠っているだけと思い込もうとしただろう。もう何日もその美しい横顔を見つめている。
頬にそっと手を添えると確かに温かい。
倒れたエミリーは緊急で処置を施され、どうにか一命は取り留めた。あとは目覚めるだけと言われ、そこからエミリーの元を片時も離れようとしないリアムを咎める者はいない。
頬に手を添えるのは、これで何度目だろう。本当に生きているのだと確認したくなり、頬の温もりに安堵する。
何故あのとき、ひとりにしたのかと悔やまれてならない。脅威となる、前キッシンジャー卿は拘束されていた。その報告に安心しきっていた。
まさか逃げ出していたとは。そして、前キッシンジャー卿の巧妙な誘い文句に乗ってしまった。『騎士団の人選』の話をしたい人物はどこにもいなかったのだ。
エミリーは自分の身を自分で守ろうとした。習得した護身術は素晴らしく、前キッシンジャー卿も泡を食ったはずだ。しかしそれさえも奴は見込んで、蜂の毒を仕込んでいた。
自ら挑もうとするエミリーの、か弱いだけではない芯の強さ。そのたおやかさに惹かれたのだ。静かに俺の隣で笑っていろ。ということ自体が間違っている。
子どもの頃のエミリーと過ごした数日の中でも、その性格は垣間見えた。