クールな王子は強引に溺愛する
前の集団と顔を合わせ、再び絡みつく視線を向けられる。待ち伏せしていたのではなかろうか。そう思いたくなるほどに、気が滅入ってしまう。
「おやおや。これは、第二王子がご執心の閨姫様」
閨姫だなんて、私はそれだけの女だと言いたいのね!
文句を返したいが、この前のような面倒はごめんだ。それに身も心もリアムのものになったエミリーに、キッシンジャー卿も手出しできないはずだ。
「キャー! は、蜂!」
キッシンジャー卿と共にいた女性のひとりが指をさし声を上げた。
甘い香りに誘われたのか、はたまたライラックの花の蜜を吸っていた蜜蜂が、切り花になっても蜜を吸い続けていたのか。一匹の蜜蜂が飛び回っている。
エミリーは咄嗟に進み出る。
「お前は城内にいては困るでしょう? 外の方がお花もたくさんあるわよ」
蜜蜂を促すように窓のある方へとライラックで誘導する。言わなくても女性たちはざざっと自ら道を開け、蜂を含めエミリーから距離を取る。
蜜蜂はライラックの周りを飛びながら窓へと進み、外気を感じ取ったのか外へと出て行った。