ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています
妃教育を終えたら、次は一般の新入生となるべく、入学試験に向けて猛勉強中なのだ。
彼女から試験に向けての不安を打ち明けられたため、ロザンナは先ほど彼女に自分がよく読んでいた本を又貸ししたのだ。
アルベルトの執務室に入室し、自分の場所となりつつあるソファーに腰掛けてバッグから一通の封書を取り出す。中に入っているのは、来年度に関する案内だ。
午前にあった聖魔法の授業を終えた後、いまだ仲良くなれない女子生徒ふたりの会話が聞こえてしまった。
「来年度、彼女は居るのかしら」という呟きに「花嫁に選ばれなかったら学生として残るんじゃない?」と続き、ロザンナは不安を煽られた。
学生を続けるのを目標にここまでやってきた。しかし今は、アルベルトに花嫁として選ばれたいという望みも持ってしまっている。
両方叶えたいと思うのは欲張りだろうか。
ぼんやり考えているとガチャリと戸が開き、書類を抱えた執事と共にアルベルトが部屋へ入ってきた。
机に書類を置いた執事へ「ありがとう」とアルベルトが感謝の意を述べると、執事は「失礼します」と腰を折り、部屋を出ていく。
ふたりっきりになったところで、アルベルトがロザンナの元へ足を向けた。