ループ10回目の公爵令嬢は王太子に溺愛されています

幼い頃と比べたらだいぶ成長したとはいえ、ロザンナのそれはまだ弱い。

アカデミーは兄のように火球など難なく操り、剣術にも優れているような人材が入学したいと集まってくるのだから、この力を武器にするにはもっともっと努力が必要だ。

こんな調子では正直難しいかもと思い始めた一方で、火でなく別の力だったらいけるのではと、希望を持たずにいられなかった。

ロザンナはベッドのサイドテーブルに飾られている赤いディックの鉢植えへと目を向けて、昨晩の出来事を思い出す。

そこにあるのは、庭に咲いている観賞用のディックを鉢に移し替えてもらったものだ。

アルベルトとのやり取り思い返しながら何気なく手をかざしてみたところ、あの時と同じように花が輝き出したのだ。

しかもそれは、全神経を集中させて生み出した火球よりも力強い眩さで、眠りの妨げになるほど光り続けた。

朝食の時に、それとなく父に観賞用の花が力に反応することがあるのかと疑問をぶつけたが、それはないと即答される。

反応するのは魔法薬用として特別に育てられたものだけだよと言われるも、実際目にしているため納得はできない。

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