時の止まった世界で君は
瀬川はしばらく考えたような表情をしてから口を開いた。

「染谷先生がそう言ってくださるなら、やらせてください。でも、まだ自分だけでは力不足だけだと思います。だから、お力添えをお願いしたいです。」

その力強い言葉に、改めて瀬川にこの話をして良かったなと安心する。

「うん。もちろん、サポートさせて。…なつを、よろしく頼む。」

その言葉には祈るような気持ちも入っていた。

どうか、また元気になれますように、明るい笑顔が見られますように。

目元に涙が浮かぶ。

あー、ここで泣いたら格好悪いな。

「…染谷先生、担当は変わっても、なつみちゃんの病室には顔を見せてあげて欲しいです。きっと、なつみちゃんにのって染谷先生は特別な人だから。……治療を行う上でも、先生がいらっしゃるだけで心強いと思うんです。」

参ったな、そこまで気が回るのか。

「うん。ありがとうな。なつの所には毎日行こうと思うよ。俺も、なつに会いたいしね。」

そう笑うと、瀬川くんも少しホッとした表情を見せてくれた。

……ついに、これからだな。

また戦いが始まる。

「これから、よろしくな瀬川。」

「はい。」
< 22 / 115 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop