時の止まった世界で君は
「じゃあ、麻酔の注射するよ。危ないからちょっと動かないでねー」

看護師さんに固定をしてもらいながら、治療のための処置が始まる。

まずは消毒をした背中に局所麻酔を行う。

この治療における1番の山場はここと言っても過言では無いかもしれない。

痛みを無くすためとはいえ、また麻酔も痛いから患者さんにとっては辛いのだ。

「少しチクッとするよー」

可哀想なくらい震えている 背中に手を置き、針を刺す。

その瞬間、なつの表情にも力が入った。

「じょうずだよー。上手に頑張れてるからね。あともう少し!」

複数回針を刺し、満遍なく麻酔を行き渡らせる。

「なつ、ここ触られてるのわかる?」

ううんと首を振ったのを確認して、麻酔の注射器をトレーにおく。

一度、これで痛いことは終わりだ。

「よし。よく頑張った。痛いのはこれで終わりね。」

そう言ってなつの頭を撫でると、なつは少し安心したように顔を緩ませた。
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