透明な世界で、ただひとつ。


「じゃあね。」

「うん、また連絡する。」



うちの玄関前まで送ってくれた堺にお礼を伝えて背を向ける。

かばんのサイドポケットから鍵を取り出して左手で探した鍵穴に差し込み回す。



鍵が開いてドアを開けようと手を伸ばした時、中で大きな足音がしてドアが開いた。

こんな視力でも中から出てきたその人のことが認識できるのはやはり私があなたの姉だから?



「瑞希!」

「なに、柚香。」



なんで見えないはずの柚香の泣きそうな顔も見えてしまうんだろう。



「目が見えなくなるって本当なの!?」

「そうだよ。」

「本当にあと一ヶ月しか目が見えないの?」



私はその言葉にゆっくり頷くことしか出来なかった。



「なんで、なんで。言ってくれなかったの...

ねえ、どうして私には言ってくれなかったの...」

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