クールな騎士団長は獣な本能を初夜に目覚めさせる
『異性と素肌を合わせたら、修道女にはなれません』この言葉の意味を、マリアは正しく理解していない。もし、ここでマリアが昨夜の一部始終を語れば、修道院長は全力でマリアを止めにかかるだろう。もしかすれば、マリアの決心が揺らぐこととてあるかもしれない。
 バクバクと煩いくらいに鼓動が打ち付けていた。グッと唇を引き結び、神からの裁可を待つような思いで、彼女の答えに耳を傾けた。
「いいえ。院長先生、私は最終的に望んで彼を受け入れたのです。ライアンの説明にもあった通り、体温を保持する目的で、意識のない私に彼が体温をわけてくれたのが最初でした。けれど最後は、……そうじゃなかった。肌と肌、唇と唇をピタリと寄せ合って、感じたのは喜びだけ。私は不謹慎にも生身の男性に愛されて、充足感に満たされていたのです。私は彼の胸の中で――」
「おやめなさい! それ以上、神への冒涜は許しません!」
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