一生ものの恋をあなたと
「待って!
頼む。話があるんだ!」

腕を掴もうとした蓮を振り切って、去ろうとした。

ドンッ

「あ、す、すみません!」

前を見てなかった為、テラスのドアから入ってきたばかりの人にぶつかった。

「いや、こちらこそ。
大丈夫?」

「大丈夫です。」

「愛!待てよっ……兄貴…」

え?
あ、そうだ。
さっき主賓の挨拶をされた朝倉コーヒーの…。

「蓮、お前ここで何してるんだ?
お前、今日はHASEGAWAの社員として来ている自覚はあるのか?」

「…ッ‼︎」

「トラブルだ。
親族控室に行け。
中国の百貨店から納品ミスの連絡が入ってる。
営業部長が対応してる。
けど、語学力に問題があるな、あれは。
今日は斎くんに対応させるわけにいかないだろ?
今、たまたま通りかかった廣澤さんという女性が対応してくれている。
お前がするべきことだろう!」

「灯里が⁉︎」

「……早く行け!
自分の役割を果たせ。」

「…ッ!」

悔しそうに顔を歪めてお兄さんを見る蓮。

「……!」

何か小声でお兄さんに耳打ちして、ホテルの中に入って行った。

「…相変わらず、間の悪いやつだ…」

お兄さんがボソッと何か言った。

「…さて。
ここは熱中症になりそうな暑さだから、
中に入ろうか。
愛ちゃん?」

「え?…あ、はい。」

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