監察医と探偵
オスカーは嫌な表情を見せることなく、ハンスに話しかける。

「彼は、勉強熱心で優秀だった。将来は、所長になるだろうと期待していたんだが……」

「……そうか」

そう言って、オスカーは歩き始めた。オスカーの後を、陽葵は慌てて追いかける。

「……オスカー?」

「まだ調べたいことがあってな」

そう言ったオスカーは、とある部屋の前に立ち止まった。オスカーが来たのは、資料室。ここで研究されているウイルスのデータがまとめられた部屋だ。

その部屋に、オスカーはためらう様子を見せることなく入り、部屋の中を歩き回る。

「……オスカー、あれは何だろう……」

オスカーの後を付いていた陽葵は、立ち止まって前を指さした。

「……木の枝か?」

・・・・

こんな風に並べられた木の枝を見て、オスカーはすぐに、これがダイイングメッセージだと気が付く。

「…………なるほどな……陽葵、これは自殺じゃない。他殺だ」

そのダイイングメッセージをすぐに解読し、とある資料を見つけたオスカーは、珍しく嬉しそうに笑った。

「え!?」

「陽葵、写真撮って皆のもとへ行くぞ」

オスカーはスマホを取り出して、並べられた木の枝の写真を撮る。そして、皆の居る場所に向かって歩き始めた。
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